ネットショップの売り上げ・利益を拡大するリノベーション手法について解説しよう。基本は、短時間かつ経費のかからない集客方法を考えて売り上げの増加を図り、利益の出るサイトに作り替えることだ。
ネットショップの売り上げはアクセス数、転換率(購買率ともいう)、客単価の3要素で変動し、「アクセス数×転換率×客単価」で表される。客単価は、商材が変わらない限り大きく変動しない。転換率は各ショップの特徴により、さまざまな手法があるので、売り上げ変動に一番大きく関係するアクセス数に絞って話を進めたい。
まず短期にアクセス数を増やすには、リスティング(検索連動型)広告の利用が手っ取り早い。リスティング広告は、入札単価と品質スコアによる広告ランクで表示順位が変わるため、メジャーな言葉(ビッグキーワード)による出稿は他サイトの競合となり、費用がかかり過ぎる。サイトの価値(利益重視の運営)の観点から、費用をかけない工夫をする必要がある。
一つの技法として、サジェストキーワード(検索エンジンで、あるキーワードを検索するとき同時に検索されることが多いキーワード)を集め、競合先がないと思われるキーワードで出稿する「1円広告」などを活用したい。
また、スマートフォン対応も必須だ。総務省がまとめた2017年の世帯における情報通信機器の保有調査では、スマホが75%を超え、パソコンを抜いた。このため多くのネットショップはスマホ対応だ。筆者の会社が運営する「看板ショップ」の扱い商品は看板が主で、店舗や企業向けの商品であるため、まだパソコンからの注文が多いが、それでも4割はスマホからだ。もしスマホ対応でなければ売り上げが3分の2以下になる。企業間取引のBtoBが中心のネットショップでも、スマホ対応が欠かせない。
一方、検索キーワードで自社サイトをヤフーやグーグルなどの検索サイトの上位に表示させるSEO(検索エンジン最適化)は、重要な課題の一つとなっている。筆者の検証によると、広告サイトを除き1ページ目の一番上に表示されるサイトと10番目のサイトのアクセス数の差は3~5倍ほどある。そのため、SEO専門業者に依頼するなどして、どのショップもSEOに注力している。
しかし、表示順位を決めるグーグルのランキングアルゴリズムの変更も頻繁にあり、一晩で順位が変動してしまうリスクが伴う。その点、ロングテールキーワードでの検索からの流入は、長期にわたって比較的安定しているので、多くのキーワードを入れ込んだ情報量の多いサイトへの作り込みが必要になってくる。ただ、作り込みに時間がかかるのが難点だ。
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